採用後に想定外の負担になりやすいもの

「給与以外こんなに払うものがあるんですか?」
初めて従業員を採用した法人経営者の方から、採用後しばらく経ってからよくお聞きするお話です。
採用時には、求人費用や給与の金額に目が向きがちですが、実際に人を雇うと、給与以外にもさまざまな負担が発生します。
今回は、採用後に「想定外だった」と感じやすい代表的な負担を整理してご紹介します。
負担① 社会保険料の会社負担分
法人の場合、正社員を雇用すると、健康保険・厚生年金保険への加入が原則として義務になります。
この保険料は労使折半、つまり従業員本人と会社が半分ずつ負担するしくみになっており、給与から天引きされる従業員負担分と同額を、会社側も別途負担する必要があります。
おおよその目安として、給与総額の15%前後が会社負担分として発生するとイメージしておくと、採用時の資金計画が立てやすくなります。
負担② 労働保険(雇用保険・労災保険)と年度更新の事務
従業員を1人でも雇用すると、労災保険への加入が義務になり、一定の要件を満たす従業員については雇用保険への加入も必要です。
保険料の一部は会社負担となるほか、毎年、前年度の賃金総額をもとに保険料を精算し、新年度の概算保険料を申告・納付する「年度更新」という手続きが発生します。
給与計算の担当者がいない場合、この事務作業自体が想定以上の負担になることも少なくありません。
負担③ 年5日の年次有給休暇の取得義務
年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対しては、会社側が時季を指定するなどして、年5日は必ず取得させることが法律上の義務になっています。
「有給休暇は本人が申請してきたら与えればいい」という認識のままだと、取得日数が足りず法令違反となるおそれがあります。
シフトの調整や、有給取得を前提とした人員体制の見直しなど、運用面での負担も想定しておく必要があります。
負担④ 住民税の特別徴収義務
原則として、従業員の住民税は会社が毎月の給与から天引きし、代わって市区町村に納付する「特別徴収」という方法で徴収する義務があります。
入社・退職のタイミングで市区町村への届出が必要になるなど、給与計算とあわせた事務対応が継続的に発生します。
まとめ
従業員を採用すると、給与の支払いだけでなく、
- 社会保険料の会社負担分
- 労働保険の会社負担と年度更新の事務
- 年5日の年次有給休暇の取得義務
- 住民税の特別徴収義務
など、目に見えにくいコストや事務負担が発生します。採用前にこれらを見込んでおくことで、「想定外の負担」に慌てずに済みます。
「採用にあたって、実際にどのくらいの負担が発生するか試算したい」という場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。社会保険労務士とも連携しながら、採用時の資金計画や手続きをサポートいたします。


