消費税のために別口座を作ったら気持ちが楽になる

「売上の入金を見て『思ったより多い』と感じた」

インボイス制度をきっかけに課税事業者になった方から、よくお聞きするお話です。
消費税は、お客様から商品やサービスの代金と一緒に「預かっている」お金であり、事業者自身の利益ではありません。
それにもかかわらず、売上用の口座にそのまま入金され、生活費や仕入れの支払いと一緒に使ってしまうと、いざ納税のタイミングでお金が足りない、という事態になりかねません。
今回は、この不安を軽くするための「消費税専用口座」の考え方をご紹介します。

消費税は「預かっているお金」という感覚を持つ

消費税の納付額は、基本的に「お客様から預かった消費税」から「自分が仕入れや経費の支払いで負担した消費税」を差し引いて計算します(簡易課税を選択している場合は、業種ごとの「みなし仕入率」を使って概算で計算します)。
つまり、受け取った消費税分は、いずれ税務署に納めるお金であり、最初から自分のものではないと捉えることが大切です。
この感覚を持つだけでも、「使ってよいお金」と「預かっているお金」の線引きがしやすくなります。

別口座に分けておくメリット

売上用の口座とは別に、消費税納税専用の口座を用意しておくと、次のようなメリットがあります。

  • 通帳の残高を見るだけで、自由に使える金額が一目でわかる
  • 納税のタイミングでまとまったお金を慌てて用意する必要がなくなる
  • 事業用の資金繰りと、納税資金を混同しにくくなる

「見えるところに置いておかない」ことで、使い込みを防ぐという、家計管理と同じ発想です。

いくら・いつ移せばいい?

厳密な金額は決算をしてみないと確定しませんが、日々の運用としては次のような方法がおすすめです。

  • 入金があるたびに、税込金額のうち消費税相当分(税率10%なら「税込金額×10/110」が目安)を別口座に移す
  • 毎日が難しい場合は、月に1回、その月の売上に応じた消費税相当額をまとめて移す

まずはおおまかな目安として、売上の一定割合を機械的に移しておき、簡易課税や2割特例など実際に適用される計算方法が固まった段階で、金額を調整していくとよいでしょう。特に簡易課税や2割特例を使う場合は、預かった消費税より少ない金額の納付で済むケースも多いため、多めに確保しておいた分は後で事業用に戻すこともできます。

事業を数年継続し、消費税の計算方法があらかじめ分かっているケースで、仮に毎年預かった消費税の30%程度を納付しているのであれば、

税込金額×10/110×30%

といったように予測しておくと精度高く資金をプールできます。

ポイントは無駄に資金をプールしすぎると、お金を遊ばせてしまうため、投資機会を逃し成長が遅れるリスクがあります。

消費税の納税タイミングも押さえておく

  • 個人事業主

個人事業主の消費税の確定申告・納付期限は、原則としてその年の翌年3月31日です。所得税の確定申告期限(3月15日)とは異なる点に注意しましょう。
また、前年の消費税の年税額が48万円を超えている場合は、年の途中で一部を前払いする「予定納税」が必要になることがあります。
「所得税の申告が終わったから一安心」と思っていたら、消費税の納付がまだ残っていた、ということがないよう、両方の期限をあわせてスケジュールに入れておくことをおすすめします。

  • 法人

決算日の2ヶ月後が確定申告・納付期限となります。予定納税は個人事業主と同様です。

まとめ

消費税は、事業者の利益ではなく預かっているお金という前提に立ち、

  • 専用の口座を分けておく
  • 受け取るたびに、あるいは月次で、目安となる金額を移しておく
  • 納付期限、予定納付のスケジュールを把握しておく

この3点を押さえるだけで、納税時期の資金繰りへの不安はぐっと軽くなります。

「自分の場合、どのくらい消費税を確保しておけばいいか分からない」「簡易課税と原則課税、どちらが有利か知りたい」という場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。事業内容に合わせた納税額の見込みや、資金繰りのご相談も承っております。